ビールの種類をわかりやすく解説|ラガー・エール・クラフトビールの違いと世界のビアスタイル一覧

ビールの種バナー

ビールには、ピルスナーやIPA、スタウト、ヴァイツェンなど、世界各地で育まれてきたさまざまな種類(ビアスタイル)があります。しかし、「ラガーとエールは何が違うの?」「生ビールはビールの種類なの?」「クラフトビールとはどんなビール?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。

ビールは、発酵方法や使用する酵母、原料、色、製法など、さまざまな基準で分類されます。例えば、発酵方法から大きく捉えるとラガーやエールなどに分けられ、さらにその中にピルスナーやIPA、スタウトなど多彩なビアスタイルがあります。

また、日本では「ビール」「発泡酒」といった酒税法上の分類や、「生ビール」「クラフトビール」といった呼び方もあり、それぞれ意味が異なります。

この記事では、ビールの種類を早見表でわかりやすく整理し、ラガー・エール・自然発酵ビールの違いから、代表的なビアスタイル、日本で使われるビールの分類や呼び方まで初心者向けに解説します。

ビールの種類を理解するときは、まず発酵方法による違いを知っておくとわかりやすくなります。

代表的なのが、下面発酵酵母を使う「ラガー」と、上面発酵酵母を使う「エール」です。また、ベルギーのランビックに代表される自然発酵によって造られるビールもあります。

まずは、それぞれの違いを早見表で確認してみましょう。

分類主な発酵方法味わい・特徴の傾向代表的なビアスタイル
ラガー下面発酵すっきりとした飲み口のものが多いピルスナー、ヘレス、ボックなど
エール上面発酵酵母由来の豊かな香りを楽しめるものが多いペールエール、IPA、スタウトなど
自然発酵ビール自然発酵酸味や複雑な香りを持つものがあるランビックなど

💡 サケセンワンポイント

「ラガー」「エール」は主に発酵方法や使用する酵母による分類ですが、「生ビール」「黒ビール」「クラフトビール」などは、それぞれ異なる基準で使われる言葉です。

そのため、「ラガー・エール・生ビール・クラフトビール」というように、すべてを同じ基準の種類として並べることはできません。 まずはラガーとエールの違いを知り、そこからピルスナーやIPA、スタウトなどのビアスタイルを見ていくと、ビールの種類を理解しやすくなります。

ビールは発酵方法によって大きく分類できる

ビールには数多くのビアスタイルがありますが、その違いを理解するうえで重要なポイントの一つが発酵方法と使用する酵母です。

代表的なのが「ラガー」と「エール」で、さらにランビックなどの自然発酵によって造られるビールもあります。

ただし、すべてのビールを単純に3種類だけに分類できるという意味ではありません。ビールには発酵方法だけでなく、原料や色、製法、地域などによるさまざまな分類があります。

ここでは、ビールの種類を理解する基本として、それぞれの発酵方法と特徴を見ていきましょう。

ラガービール

ラガービールは、主に下面発酵酵母を使い、比較的低い温度で発酵させて造るビールです。

一般的に酵母由来の香りが比較的穏やかで、すっきりとした飲み口に仕上がるものが多くあります。

ラガーには、ピルスナー、ヘレス、ボックなどさまざまなビアスタイルがあります。日本で広く飲まれている大手メーカーのビールにも、ラガーに分類される商品が多くあります。

エールビール

エールビールは、主に上面発酵酵母を使い、ラガーより比較的高い温度で発酵させて造るビールです。

酵母が生み出すフルーティーな香りなどを感じられるものも多く、使用する麦芽やホップ、酵母、製法によって多彩な味わいが生まれます。

代表的なビアスタイルには、ペールエールやIPA、スタウトなどがあります。また、小麦を使用したヴァイツェンなども、一般的にエール系のビールとして分類されます。

自然発酵ビール

自然発酵ビールは、培養した特定のビール酵母を加えて発酵させる一般的な方法とは異なり、醸造環境に存在する野生酵母や微生物などを利用して発酵させるビールです。

代表的なものが、ベルギーのランビックです。ランビックでは野生酵母や乳酸菌など複数の微生物が発酵に関わり、独特の酸味や複雑な香りを生み出します。

自然発酵ビールにもさまざまな造り方や特徴があり、一般的なラガーやエールとは異なる個性的な味わいを楽しめます。

ビールそのものの原料や特徴、造り方など基本から知りたい方は、「ビールとは?」もあわせてご覧ください。

ラガービールの主な種類

ビール画像

ラガービールには、ピルスナーやヘレスをはじめ、色や麦芽の風味、アルコール度数などが異なるさまざまなビアスタイルがあります。

一般的にはすっきりとした飲み口のものが多いラガーですが、麦芽のコクを楽しめるものや、濃色で香ばしいもの、アルコール度数の高いものなど、その特徴はスタイルによって大きく異なります。

ここでは、代表的なラガービールの種類を紹介します。

ピルスナー

ピルスナーは、現在のチェコ・プルゼニ(ピルゼン)で誕生した淡色ラガーを起源とするビアスタイルです。

明るい黄金色と爽快な飲み口、ホップ由来の苦味などが特徴で、世界各地で造られているラガービールに大きな影響を与えました。

日本で広く親しまれている大手メーカーのビールにも、ピルスナー系のスタイルをルーツとするものが多くあります。

ヘレス

ヘレスは、ドイツ・ミュンヘンで誕生した淡色ラガーです。

一般的にピルスナーよりホップの苦味が穏やかで、麦芽由来の風味を感じやすいのが特徴です。

すっきりとした飲み口の中にも麦芽のやさしい甘味やコクを感じられ、バランスのよい味わいを楽しめます。

メルツェン

メルツェンは、ドイツ語で「3月」を意味する「März」に由来する、麦芽の風味を楽しめるラガースタイルです。

伝統的には春に仕込んで貯蔵し、秋に飲まれてきた歴史があり、オクトーバーフェストとも深い関わりがあります。

一般的に琥珀色から銅色のものが多く、麦芽由来の香ばしさやコク、穏やかな苦味を楽しめます。

デュンケル

デュンケルは、ドイツ語で「暗い」を意味する言葉で、ミュンヘンを代表する濃色ラガーの一つです。

濃い褐色の外観を持ち、麦芽由来のパンやカラメルなどを思わせる香ばしい風味を楽しめます。

色は濃いものの、強い焦げ味や苦味を特徴とするとは限らず、麦芽の豊かな風味となめらかな飲み口が魅力です。

ボック

ボックは、麦芽の豊かな風味と比較的高いアルコール度数を特徴とするドイツ発祥のラガースタイルです。

麦芽由来の甘味やコクを感じられるものが多く、一般的な淡色ラガーとは異なる、しっかりとした飲みごたえを楽しめます。

ボックには、ドッペルボックやアイスボックなど、さらに特徴の異なるスタイルもあります。

ドッペルボック

ドッペルボックは、ボックの中でも麦芽の風味が豊かで、アルコール度数も比較的高いスタイルです。

濃厚な麦芽の甘味やコクを感じられるものが多く、ゆっくりと香りや味わいを楽しむのにも向いています。

アイスボック

アイスボックは、ビールを凍結させ、凍った水分の一部を取り除くことでアルコールや風味を濃縮する製法を用いたボック系のスタイルです。

アルコール度数が高く、麦芽由来の濃厚な甘味やコク、豊かな香りを楽しめるものが多いのが特徴です。

🏆 編集部おすすめ

ラガービールの違いを知りたい方は、まずピルスナーから飲み比べてみるのがおすすめです。

日本で広く親しまれているビールにもピルスナー系のスタイルをルーツとするものが多いため、普段飲んでいるビールと比較しながら、ヘレスやデュンケル、ボックなどへ広げていくと、それぞれの違いを感じやすくなります。

エールビールの主な種類

エールビールは、主に上面発酵酵母を使い、比較的高い温度で発酵させて造られるビールです。

酵母由来のフルーティーな香りを感じられるものも多くありますが、使用する麦芽やホップ、酵母、製法によって味わいは大きく異なります。淡色で爽やかなものから、ホップの香りや苦味を楽しむもの、濃色で麦芽の香ばしさを味わうものまで、多彩なスタイルがあります。

ここでは、代表的なエールビールの種類を紹介します。

ペールエール

ペールエールは、イギリスで発展した代表的なエールスタイルの一つです。

一般的に淡い金色から琥珀色のものが多く、麦芽由来の風味とホップの香りや苦味のバランスを楽しめます。

現在ではイギリスだけでなく世界各地で造られており、使用するホップや麦芽などによってさまざまな個性があります。

IPA(インディア・ペールエール)

IPA(インディア・ペールエール)は、ホップの香りや苦味を生かしたエールスタイルです。

現在のIPAにはさまざまなタイプがあり、柑橘類や松、ハーブ、トロピカルフルーツなどを思わせる豊かなホップの香りを楽しめるものがあります。

苦味をしっかり感じられるタイプだけでなく、香りを重視したものや、濁りのあるジューシーな味わいのものなど多様化しており、現代のクラフトビールを代表するスタイルの一つとなっています。

ヴァイツェン

ヴァイツェンは、小麦麦芽を使用して造られるドイツの伝統的なビアスタイルです。

一般的なヴァイツェンでは、専用の酵母によってバナナやクローブを思わせる特徴的な香りが生まれることがあります。

ホップの苦味は比較的穏やかなものが多く、小麦由来のやわらかな口当たりや豊かな泡立ちを楽しめるのも特徴です。

ケルシュ

ケルシュは、ドイツ・ケルンで伝統的に造られているビアスタイルです。

上面発酵酵母を使用して発酵させた後、低温で熟成させることで、すっきりとした飲み口に仕上げられます。

淡い色合いで軽快な味わいのものが多く、エール酵母由来の穏やかな香りとラガーを思わせる爽快感をあわせ持つことが特徴です。

アルト

アルトは、ドイツ・デュッセルドルフを中心に伝統的に造られてきた上面発酵のビールです。

銅色から濃い琥珀色のものが多く、麦芽由来の香ばしい風味とホップの苦味がバランスよく感じられます。

上面発酵で造られながら低温で熟成されるため、麦芽の豊かな風味と比較的すっきりとした後味を楽しめるのも特徴です。

スタウト

スタウトは、濃い色合いと焙煎した穀物由来の香ばしい風味を特徴とするエールスタイルです。

コーヒーやカカオ、ビターチョコレートなどを思わせる香りを感じられるものが多く、使用する原料や製法によって苦味や甘味、コクは大きく異なります。

ドライで軽快なタイプから、濃厚で甘味を感じるタイプまでさまざまなスタウトがあり、見た目だけでは味わいを一概に判断できないことも魅力です。

💡 サケセンワンポイント

IPAは、現代のクラフトビールを代表するビアスタイルの一つです。

ひと口にIPAといっても、その味わいは一つではありません。ホップの苦味をしっかり楽しめるものから、柑橘類やトロピカルフルーツを思わせる香りを前面に出したものまで、さまざまなタイプがあります。

IPAを飲み比べるときは、苦味の強さだけでなく、使用されているホップが生み出す香りの違いにも注目してみると、ビールの楽しみ方がさらに広がります。

自然発酵ビールの種類

自然発酵ビールは、醸造環境に存在する野生酵母や乳酸菌などの微生物を利用して発酵させるビールです。

代表的なものが、ベルギーのブリュッセル周辺で伝統的に造られてきた「ランビック」です。一般的なラガーやエールとは異なる発酵方法によって、独特の酸味や複雑な香りが生まれます。

ランビックには、そのまま熟成させたものだけでなく、熟成年数の異なるランビックをブレンドした「グーズ」や、果実を使ったタイプなど、さまざまな楽しみ方があります。

ランビック

ランビックは、ベルギーのブリュッセル周辺やパヨッテンラント地域などで伝統的に造られてきた自然発酵ビールです。

原料には大麦麦芽や麦芽化していない小麦などが使われ、麦汁を外気に触れさせることで、醸造環境に存在する野生酵母や細菌などの微生物による発酵を促します。

その後、木樽などで長期間熟成させることで、爽やかな酸味や複雑な香りなど、一般的なラガーやエールとは異なる独特の味わいが生まれます。

グーズ

グーズは、熟成期間の異なるランビックをブレンドし、瓶内で再発酵・熟成させて造られるビールです。

一般的には若いランビックと長期間熟成させたランビックを組み合わせることで瓶内で再び発酵が進み、炭酸が生まれます。

爽やかな酸味と複雑な香りに加えて、発泡性のある飲み口を楽しめることが特徴です。ランビックの伝統的な楽しみ方の一つとして知られています。

フルーツランビック

ランビックには、果実を加えて発酵・熟成させたタイプもあります。

代表的なものが、サクランボを使用する「クリーク(Kriek)」や、ラズベリーを使用する「フランボワーズ(Framboise)」です。

使用する果実によって香りや酸味に異なる個性が加わり、ランビックならではの複雑な風味と果実の特徴を一緒に楽しめます。

なお、フルーツを使用していても必ずしも甘いビールとは限りません。製品によって、ドライで酸味のしっかりしたものから甘味を感じやすいものまで、味わいはさまざまです。

自然発酵ビールは、一般的なラガーやエールとは異なる発酵方法によって、独特の酸味や複雑な香りを楽しめることが魅力です。特にランビックは、熟成やブレンド、果実の使用などによってさまざまな味わいへと発展します。

ビールがどのように発酵し、造られているのか詳しく知りたい方は、「ビールの作り方」もあわせてご覧ください。

日本のビールの種類

日本で販売されているビール系飲料には、酒税法上の「ビール」や「発泡酒」のほか、一般に「新ジャンル(第3のビール)」と呼ばれてきた商品があります。

これらは見た目や味わいが似ているものもありますが、使用する原料や麦芽比率などによって酒税法上の分類が異なります。

まずは、それぞれの違いを一覧で見てみましょう。

呼び方主な特徴分類・原料のポイント
ビール麦芽やホップなどによる多彩な味わい酒税法上のビールの要件を満たすもの。副原料を使用する場合などは麦芽比率50%以上などの条件がある
発泡酒原料や麦芽比率などによって多様な商品がある麦芽または麦を原料の一部とする発泡性酒類など、酒税法上の発泡酒に該当するもの
新ジャンル(第3のビール)ビールに似た味わいの商品として発展「新ジャンル」は一般的な呼称。麦芽を使わないタイプや、発泡酒にスピリッツを加えたタイプなどがある

※ビール系飲料の酒税率は段階的に見直されており、2026年10月1日から一本化されます。

ビール

日本の酒税法上、ビールには原料や麦芽比率などについて一定の要件があります。

麦芽・ホップ・水を原料として発酵させたもののほか、麦や米、トウモロコシ、果実、香辛料など、定められた副原料を使用したものも、一定の条件を満たせば「ビール」に分類されます。

副原料を使用する場合などには、麦芽比率50%以上であることや、使用できる副原料について一定の基準が設けられています。

日本では、アサヒ スーパードライ、キリン一番搾り、サッポロ生ビール黒ラベル、ザ・プレミアム・モルツなど、さまざまなビールが販売されています。

発泡酒

発泡酒は、酒税法上の「ビール」とは異なる区分の発泡性酒類です。

麦芽や麦を原料の一部として造られるもののほか、ホップを原料の一部とするものなど、酒税法で定められた条件に該当するものが発泡酒に分類されます。

そのため、「発泡酒=麦芽比率50%未満」とだけ覚えるのは正確ではありません。 使用する原料などによっては、麦芽比率だけではなく酒税法上のビールの要件を満たすかどうかによって発泡酒となる場合があります。

また、クラフトブルワリーが果実やハーブなどを使用して造る商品が、使用する原料や配合などによって発泡酒に分類されることもあります。

新ジャンル(第3のビール)

「新ジャンル」や「第3のビール」は、ビールや発泡酒と並ぶ正式な酒税法上の品目名ではなく、ビールに似た味わいを持つ商品の一部を指して一般的に使われてきた呼び方です。

麦芽を使用せず、糖類などを発酵させて造るタイプや、麦芽比率の低い発泡酒にスピリッツを加えて造るタイプなどがあります。

ビール系飲料の税率は段階的に見直されてきましたが、2026年10月1日にはビール・発泡酒・いわゆる新ジャンルの税率が1kL当たり155,000円に一本化されます。

そのため、今後は「ビール・発泡酒・新ジャンル=税率の違い」という従来の理解だけではなく、酒税法上の分類や使用する原料の違いとして理解することが重要です。

クラフトビールとは

クラフトビールとは、一般的に、造り手の個性やこだわりを生かして造られるビールを指す言葉として使われています。

小規模・独立系のブルワリーが造るビールを指して使われることが多いものの、日本では「クラフトビール」について統一された法的な定義があるわけではありません。

また、クラフトビールは「ラガー」「エール」「IPA」「スタウト」のような発酵方法やビアスタイルを表す名称ではないこともポイントです。クラフトビールの中にも、ラガーやエールをはじめ、さまざまなビアスタイルがあります。

クラフトビールの特徴

クラフトビールの魅力の一つが、多彩な香りや味わい、ビアスタイルを楽しめることです。

日本で広く親しまれている大手メーカーの商品にはラガー系のビールが多くありますが、クラフトビールではIPAやペールエール、ヴァイツェン、スタウトなど、さまざまなスタイルが造られています。

また、ホップや麦芽、酵母の組み合わせだけでなく、地域の果物や農産物、スパイスなどを取り入れた商品もあります。

ブルワリーごとの考え方や地域性、原料、製法などによって異なる個性を楽しめることが、クラフトビールの魅力です。

地ビールとの違い

「地ビール」と「クラフトビール」は似た意味で使われることがありますが、厳密に同じ意味と決められているわけではありません。

日本では1994年の酒税法改正によってビール製造免許に必要な最低製造数量基準が引き下げられ、小規模な事業者がビール造りへ参入しやすくなりました。その後、全国各地で地域性を打ち出した「地ビール」が造られるようになります。

「地ビール」という言葉は、地域や観光との結びつきを意識したビールに使われることが多い一方、「クラフトビール」は造り手の個性や多様なビアスタイルなどに注目した呼び方として広く使われています。

ただし、両者には明確な法的区分があるわけではなく、現在でも同じような意味で使われる場合があります。

日本で人気の理由

日本でクラフトビールが注目される理由の一つが、従来の定番ビールとは異なる多彩な味わいを楽しめることです。

ホップの華やかな香りを楽しめるIPA、小麦を使ったヴァイツェン、焙煎した穀物由来の香ばしい風味を持つスタウト、すっきりとしたラガーなど、さまざまなスタイルから好みに合わせて選べます。

さらに、地域の特産品を取り入れた商品や、ブルワリー独自の発想から生まれたビールなど、造り手ごとの違いを楽しめるのも魅力です。

飲食店やビール専門店に加え、スーパーやコンビニなどでもクラフトビールを目にする機会が増え、さまざまなスタイルを身近に楽しめるようになっています。

クラフトビールの定義や特徴、地ビールとの違いについてさらに詳しく知りたい方は、「クラフトビールとは」もあわせてご覧ください。

生ビールとは?

樽生ビール

「生ビール」というと、居酒屋や飲食店でビールサーバーから注がれる「樽生ビール」を思い浮かべる方も多いかもしれません。

しかし、日本で「生ビール」や「ドラフトビール」と表示されるビールは、熱による処理(パストリゼーション)をしていないビールを指します。

そのため、「生ビール=樽に入ったビール」という意味ではありません。瓶や缶に詰められたビールでも、熱処理をしていなければ生ビールと表示されるものがあります。

ここでは、生ビールと瓶・缶ビール、飲食店で提供される樽生ビール、さらにラガービールとの違いを整理します。

生ビールと瓶・缶ビールの違い

「生ビール」と「瓶ビール」「缶ビール」は、そもそも分類する基準が異なります。

生ビールは熱処理の有無に関する呼び方ですが、瓶ビールや缶ビールはビールを入れる容器の違いを表しています。

そのため、

  • 生ビールを瓶に詰めた「瓶の生ビール」
  • 生ビールを缶に詰めた「缶の生ビール」
  • 生ビールを樽に詰めた「樽生ビール」

のいずれも存在します。

実際に、日本で販売されている大手メーカーの代表的なビールには、熱処理を行わない生ビールが多くあります。生ビールまたはドラフトビールと表示する場合には、「熱処理していない」「非熱処理」などの表示も行われます。

樽生ビールとは?

飲食店で「生ビール」と注文したときに提供されるのは、一般的に樽に詰められた生ビールをビールサーバーからグラスやジョッキへ注いだ「樽生ビール」です。

つまり、「生ビール」と「樽生ビール」は完全に同じ意味ではありません。

生ビールは熱処理の有無を表し、樽生ビールは樽に詰められて提供される生ビールと考えると分かりやすいでしょう。

飲食店では、樽に入ったビールをビールサーバーにつなぎ、グラスやジョッキに注いで提供します。こうした提供方法が、居酒屋などで「生ビール」と呼ばれるイメージにつながっています。

ラガービールと生ビールの違い

「ラガービール」と「生ビール」も混同されやすい言葉ですが、意味は異なります。

呼び方何を表す?ポイント
生ビール熱処理の有無熱による処理をしていないビール
ラガービール発酵・貯蔵方法など貯蔵工程で熟成させたビール

ビール酒造組合の表示基準でも、ラガービールは「貯蔵工程で熟成させたビール」、生ビール・ドラフトビールは「熱による処理をしていないビール」とされています。つまり、両者は別の基準による呼び方です。

そのため、1本のビールが「ラガービール」であり、同時に「生ビール」でもあることがあります。

例えば、アサヒスーパードライ、キリン一番搾り生ビール、サッポロ生ビール黒ラベルなど、日本で広く親しまれているビールにもラガーかつ生ビールの商品があります。

💡 サケセンワンポイント

「生ビール=樽」「ラガー=瓶」という違いではありません。

生ビールは熱処理の有無、ラガーは発酵・貯蔵方法、瓶・缶・樽は容器の違いと考えると、それぞれの意味を整理しやすくなります。

飲食店で一般に「生ビール」と呼ばれているものは樽生ビールですが、スーパーで販売されている瓶や缶にも生ビールはあります。

初心者におすすめのビールの種類

「ビールは苦い」というイメージを持っている方も多いかもしれません。しかし、ビールには苦味が穏やかなものや、フルーティーな香りを楽しめるもの、麦芽のコクや香ばしさを味わえるものなど、さまざまなスタイルがあります。

初めて選ぶときは、苦味・香り・コクなど、自分の好みに合わせてビアスタイルを選ぶのがおすすめです。

ここでは、好み別に初心者でも選びやすいビールの種類を紹介します。

苦味が穏やかなビールなら「ヴァイツェン」

ビール特有の苦味が苦手な方には、ヴァイツェンがおすすめです。

ヴァイツェンは、小麦麦芽を使用して造られるドイツの伝統的なビアスタイルです。一般的なヴァイツェンでは、酵母由来のバナナやクローブを思わせる香りと、小麦由来のやわらかな口当たりを楽しめます。

ホップの苦味が比較的穏やかなものが多いため、「ビールの苦味は苦手だけれど、香りを楽しんでみたい」という方にも試しやすいスタイルです。

ホップの香りを楽しみたいなら「ペールエール・IPA」

ホップが生み出す豊かな香りを楽しみたい方には、ペールエールやIPAがおすすめです。

使用するホップによって、柑橘類やトロピカルフルーツ、松、ハーブなどを思わせるさまざまな香りを感じられます。

特にIPAはホップの個性を生かしたスタイルで、しっかりとした苦味を持つものから、香りを重視したタイプまで多彩です。

苦味が強いビールが苦手な方は、まずペールエールから試し、そこからIPAへ広げていくのもよいでしょう。

麦芽のコクを味わいたいなら「ボック」

麦芽の豊かな風味や、しっかりとした飲みごたえを求める方には、ボックがおすすめです。

ボックはドイツで発展したラガースタイルの一つで、麦芽由来の甘味やコクを感じられるものが多く、一般的な淡色ラガーよりアルコール度数が高めのものもあります。

すっきりとしたビールとは違った、麦芽の豊かな味わいをゆっくり楽しみたい方に向いています。

黒ビールを楽しみたいなら「スタウト」

濃色のビールに挑戦してみたい方には、スタウトも選択肢の一つです。

スタウトは、焙煎した穀物由来のコーヒーやカカオ、ビターチョコレートなどを思わせる香ばしい風味を持つものが多いエールスタイルです。

濃厚で甘味のあるタイプだけでなく、ドライで比較的軽快なタイプもあるため、「黒いビール=重くて甘い」とは限りません。

料理との組み合わせを楽しんだり、食後にゆっくり味わったりするのもおすすめです。

ビールの温度やグラス、料理との合わせ方などについて詳しく知りたい方は、「ビールの飲み方」もあわせてご覧ください。

いろいろな味わいを試したいなら「クラフトビール」

「いつもとは違うビールを飲んでみたい」「自分好みのスタイルを探してみたい」という方は、クラフトビールにも注目してみましょう。

クラフトビールは特定のビアスタイルを表す名称ではなく、IPAやヴァイツェン、ペールエール、スタウト、ラガーなど、さまざまなスタイルの商品があります。

複数のスタイルを飲み比べることで、ホップの香りが好きなのか、麦芽のコクが好きなのか、苦味が穏やかなものが好みなのかなど、自分の好みを見つけやすくなります。

ブルワリーごとの原料や製法、味わいの違いを楽しめることも、クラフトビールの魅力です。

🏆 編集部おすすめ

初めて飲み比べるならこの3スタイル

1位:ピルスナー

  • すっきりとした飲み口のものが多く、親しみやすい
  • 日本で広く飲まれているビールにもピルスナー系をルーツとするものが多い

2位:ヴァイツェン

  • ホップの苦味が比較的穏やかなものが多い
  • バナナやクローブを思わせる酵母由来の香りを楽しめる

3位:ペールエール

  • 麦芽の風味とホップの香り・苦味のバランスを楽しめる
  • エールやクラフトビールの多彩な味わいを知る入口にしやすい

まずは親しみやすいピルスナーを基準にして、苦味が穏やかなヴァイツェン、香りを楽しめるペールエールへと飲み比べてみると、それぞれの違いを感じやすくなります。

実際におすすめの銘柄を知りたい方は、「おすすめビールランキング」の記事もぜひご覧ください。

よくある質問(FAQ)

Q. ビールは全部ラガーですか?

いいえ、すべてのビールがラガーというわけではありません。

ビールは発酵方法や使用する酵母などによってさまざまに分類され、代表的なものに「ラガー」や「エール」があります。また、ベルギーのランビックに代表される自然発酵ビールもあります。

日本で広く飲まれている大手メーカーのビールにはラガータイプが多くありますが、ペールエールやIPA、ヴァイツェン、スタウトなど、世界には多彩なビアスタイルがあります。

Q. エールビールは苦いですか?

エールビールが必ずしも苦いわけではありません。

エールにはさまざまなビアスタイルがあり、苦味の強さや香り、コクなども大きく異なります。

例えば、ヴァイツェンはホップの苦味が比較的穏やかなものが多く、酵母由来のフルーティーな香りを楽しめます。一方、IPAにはホップのしっかりとした苦味を楽しめるものもあります。

「エール=苦い」と考えるのではなく、ビアスタイルごとの特徴から選ぶのがおすすめです。

Q. クラフトビールとは何ですか?

クラフトビールとは、一般的に造り手の個性やこだわりを生かして造られるビールを指す言葉として使われています。

小規模・独立系のブルワリーが造るビールを指すことが多いものの、日本では統一された法的な定義があるわけではありません。

また、クラフトビールは特定のビアスタイルではなく、IPAやペールエール、スタウト、ヴァイツェン、ラガーなど、さまざまなスタイルがあります。

Q. ビールと発泡酒の違いは何ですか?

ビールと発泡酒は、酒税法上の分類が異なります。

日本では、使用する原料や麦芽比率などについて定められた要件を満たすものが「ビール」に分類され、それとは異なる要件に該当するものが「発泡酒」に分類されます。

そのため、「発泡酒=麦芽が少ないビール」とだけ考えるのではなく、原料などを含めた酒税法上の区分の違いとして理解するとよいでしょう。

なお、ビール系飲料の酒税率は段階的に見直されており、2026年10月1日から税率が一本化されます。

Q. ラガービールと生ビールの違いは何ですか?

ラガービールと生ビールは、分類する基準が異なります。

「生ビール」は熱による処理をしていないビールを指し、「ラガービール」は発酵や貯蔵方法などに関する呼び方です。

そのため、ラガービールでありながら生ビールでもある商品があります。

また、生ビールは樽に入ったビールだけを意味するものではありません。熱処理をしていないビールであれば、瓶や缶に詰められた商品にも生ビールがあります。

Q. 黒ビールは苦いですか?

黒ビールが必ずしも苦いとは限りません。

「黒ビール」は色の濃いビールを表す一般的な呼び方で、スタウトやデュンケルなど、異なるビアスタイルがあります。

スタウトにはコーヒーやカカオなどを思わせる香ばしい風味を持つものがあり、デュンケルでは麦芽由来のパンやカラメルを思わせる風味を楽しめるものがあります。

苦味や甘味、コクの強さはスタイルや商品によって異なるため、「黒いビール=苦いビール」とは限りません。

まとめ

ビールには、世界各地で育まれてきたさまざまな種類(ビアスタイル)があります。

ビールの種類を理解するときは、まず発酵方法や使用する酵母による違いに注目するとわかりやすく、代表的なものにラガーやエールがあります。また、ランビックのような自然発酵ビールもあります。

さらに、それぞれの中には多彩なビアスタイルがあります。

  • ラガー系:ピルスナー、ヘレス、デュンケル、ボックなど
  • エール系:ペールエール、IPA、ヴァイツェン、スタウトなど
  • 自然発酵ビール:ランビック、グーズ、フルーツを使ったランビックなど

一方、「クラフトビール」「生ビール」「黒ビール」は、ラガーやエールと同じ基準で分類された名称ではありません。また、日本では酒税法上の「ビール」「発泡酒」といった区分もあります。

このように、ビールには発酵方法、ビアスタイル、原料や色、製法、酒税法上の区分など、複数の分類軸があります。 それぞれの意味を知っておくと、お店やスーパーでビールを選ぶときにも違いがわかりやすくなります。

初めて飲み比べるなら、まずは親しみやすいピルスナーを基準にして、苦味が比較的穏やかなヴァイツェン、ホップの香りを楽しめるペールエールやIPA、麦芽のコクを楽しめるボックなどへ広げてみるのもおすすめです。

さまざまなビアスタイルを飲み比べながら、香り・苦味・コクなど、自分の好みに合ったビールを見つけてみてください。

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